悲しい出来事。

弊社棟梁　久保雅美殿弟御、弊社大工　久保裕志儀、かねて病気療養中のところ9月19日午前永眠致しました。（享年44才）ここに生前のご厚誼を深謝し、謹んでご通知申しあげます。
又昨日、一昨日とり行われました葬儀・通夜に際し、エボホームの関係各位の皆様におかれましては、繁忙期にも関わらず、ご鄭重なご香料、御供花など賜り、故人も天国で喜んでおられる事と思います。ありがとうございました。

昨年夏に体調を崩し、その後入退院を繰り返していたものの、周囲の人達の願いは届かず残念でなりません。自分にとっては片腕をもぎ取られた思いであり、全くあれだけの職人を見つけることは、今後かなり厳しいと思われ、ガックリと肩を落としているところです。
写真は(故人は向かって右端)昨年7月2日、大工工事もほぼ終了と言う時、建て主さんが差し入れをお持ちいただいたときに、撮った写真です。この現場終了後、作業場で次の現場を始めようと言う矢先に体調を崩しそのまま現在に至った次第です。
自分事ですが、お見送りをしてくれたお寺の住職が、自分の結婚式の友人代表を務めたほどの親友で、せめてそれはホント良かったと思えました。

一言で言えば寡黙な故人でしたが、根は非常に優しくてホントいい奴でした。工期が少し遅れている時など、その雰囲気を察知して自分だけ一時間以上早出したり、休日も現場に行くなど現場に対する思いは誰より強く、そしてその事を社長に知られるのを多分嫌っていたと思え、自分も知らんフリをしていましたが、お互い触れずともどこかで分かり合っている事を確信もしていました。多分僕の目は節穴ではないと思っていてくれていたと思います。
彼は会社のウケを狙うとか、そういうことでは全く無く、職人として後輩に自ら態度をもって示し、そして何と言っても建て主さんの為に努力を惜しまない、、、、綺麗事でも亡くなったから特別ほめるる意味ではなく、本当にそういう奴だった。

仕事の節目や新年会など一緒に温泉に行ったときは、自ら現場の話を自分にふって来て、もぅ、そりゃ夜中まで激論が交わされ、現場の話が嫌いではない自分も逃げたしたくなるくらい、家を作る事が好きで、多くの事を語り合った。
「社長、俺が来てから、釘の使用量が増えただろう･･･」
「床根太を分決めするのは良いけれど、削った面は上にするの、下にするの？」
彼は大量の一枚一枚の床根太の盛り目、反り目を見て、どちらの面を削れば良いか、、削りたての面は水分を吸いやすく、その面を合板を張る面にするのか、床下にするのか、そんな事はフツーに考えていた。床の材料一つで、もうそれは何時間も話をした事が、昨日のように思い出せます。
釣ってきた魚をさばいてルイベにして持ってきてくれたりとか、全く何をやらせても器用な奴だった。そんな彼はもういない。彼に教えられた事を無駄にしないよう、これからも少しでも多くのお客様の笑顔が見られるお家を作る事が、彼に対する一番の恩返しと思い、心からご冥福を祈る次第です。

ここから先は、これを機会に自分の感じている事を少し述べたいと思います。別に無理に読まないで下さい。独り言ですので、、
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彼は本当の意味で職人でした。いい物を作ることに生きがいを感じ、全力を注いでいる姿は、見ていてカッコよかった。
最近の住宅は「規格化」「商品化」が進み、「作るもの」から「売るもの」へと変化しています。それはそれで悪い事ではないのかもしれません。
古くは聖徳太子、イエスキリスト様が大工さんだったように、多分少なくても昭和初期頃までの大工さんは、リーマンブラザーズの社員よりずっとずっと位の上の尊敬される立場の職業だったと思います。
それがいつの日からか、職人の地位は変わり、何だかコンビニでバイトのおねいちゃんにお釣りとかもらう時、親指と人差し指でつまんだ小銭を手のひらにチャリンと落とされる屈辱プレーをされたりとか、一体どうなっているのでしょう。現場で汗にまみれで仕事をする職人に尊敬の念など無いのでしょうね。
エボホームでは3人の大工さんがいます。2人は通年雇用、今年故人に代わり入った大工は季節雇用ですが今後通年雇用にし、そして行く末みんなが「社員大工」なってほしいと思っています。エボホームの今の賃金はお世辞にも高いと言えず、これは自分の実力不足が全てですが、半年が雪に覆われるこの地において国の雇用促進や、冬季の雇用奨励金などどんどんカットされ、おまけに建材の高騰、もう正直九州と同じ条件じゃどうにもなりませんって。。
それどころか、季節雇用ですら大工を雇用しない会社の多い事、、、一体どうなっているのでしょうか、、必要な時にだけ「ひとり親方」と言われる個人の大工に発注し、仕事が無い時はさようなら。。噂では都会では「時給○○円」なんていう大工さんもいるそうです。別に経営者の方針ですから、何の問題も無いのでしょうが、何だか寂しいです･･･
子供たちに「将来は大工さんになりたい」なんて言われる時代は、やってこないのでしょうかね。あ～あ、、