「住は金儲けなり」

YKKとパナソニックの住宅・建材部門子会社「PHS」が、株式の8割をYKKが取得する契約を結んだ。実質的にYKKが経営権を掌握する、この住宅建材業界にとって十年に一度の大事件だ。

僕は今まで YKK が弱かったのは物流だと感じていたけれど、パナの全国ネットワークと一緒になることで、そこが一気に補完される。
技術のYKKと、物流網を持つパナ。これはどう考えても強い組み合わせになる。
YKKは非上場で、株主を気にして右往左往する必要がない。時間をかけて、ものづくりの理念を守りながら進むことができる。上場企業のように、数字に踊らされない。
この「非上場」とは、モノづくりの住宅業界では本当に強い。

そして今の YKK APの堀社長はYKKの長い歴史の中で、初めて同族じゃない人が社長になった人で、現場に近い目線の人で、大工さんの社会的な地位のことまで気にするような、そんな珍しい経営者だ。
こういう人がトップに来ると、会社の性格がガラッと変わるはずだ。

まだ、リクシルがトステムだった頃の社長の潮田健二郎さんという熱いものづくりの塊みたいな人がいたけれど、僕は堀社長に少しあの頃の雰囲気を感じる。
潮田さんは「住は聖職なり」と掲げ、工務店や職人や施主を本当に大切にしていて僕も尊敬していた。
でも1998年に潮田さんが会長になったあたりから、トステムは大きく姿を変え始めた。
INAXの経営統合から始まり、あらゆる会社を買収して巨大なグループになり、最終的には理念より規模という方向に行ってしまった。
そしてリクシルになり、今では完全にファンド会社のような体質。理念も思想もなく、ただ巨大なだけの建材商社になってしまった。

1923年建具屋「妙見屋商店」として始まり、トーヨーサッシそしてトステム更にリクシルとなった今は、潮田氏の「住は聖職なり」なんて言葉きっと誰も覚えていない。

「住は金儲けなり」
建具を捨てて拝金主義のファンド会社へ。投資家に迫られ効率を重視し田舎のショールームは次々と閉鎖。
まさしく「戸捨無」かもしれない。

ちなみにエボホームは2010年INAXトステム・ホールディングスが「株式会社 住生活グループ」に社名変更した頃、「これはもう終わった」と強く感じて、同じく2010年よりキッチンや洗面、玄関収納などを自ら造りはじめ、2012年からは室内建具を内製化して、脱リクシルとした。
だから今回のことに関しても仮に僕が今新築を建てていたとしても何も関係ないけど笑

ということで今回のYKKとパナの組み合わせは、その失われたものづくりの魂を、別の形で取り戻す流れになるかもしれない。
一方でリクシル。あのクジラみたいな会社は、これからますます沈んでいくかもなぁ。。。
非上場で時間に束縛されない「ものづくりの哲学」を持った企業に、理念を失い決算期と株価に追われる企業は、必ず長い時間軸では負ける。
今回の統合は、ただの経営ニュースじゃない。住宅業界の重心が、大きく動いた大事件だと思う。

僕にはもう直接関係ない話だけど、こういう動きを見ていると、「ものづくりがわかる人間がトップに立つ」ということの大切さをあらためて感じる。

あ、パナの傘下の「シャノン」はどうなるの、、
リンク先のおっさんの「一回しか会っていないんだけどー」の続きは堀社長の素敵な話でしたが、ココでは言えません。

経営統合かぁ、、汁も大変だなぁ、、そんな事考えながら、たまごの車検の準備。
購入して5年、、、まだどこにも出かけていない。。
老人はこのままボケて、たまごから腐った臭いがするかもしれないな。